バリアフリーとは

バリアフリーという言葉は、「システムや設備などが高齢者や障がい者の方対して対応可能である事」を指している事は広く知られていますが、実はこのバリアフリーという言葉の用法はアジア、ヨーロッパの非英語圏で使われており、アメリカやイギリスでは「アクセシビリティ」と呼ばれています。英語圏ではバリアフリーという言葉は単に建物の段差を取り除く事のみを指します。

 

 

アクセシビリティとは文字通りアクセスのしやすさを指した言葉で、製品やサービスの使いやすさという意味です。なるほど、単に段差が解消されていても、それが使う人にとってアクセスしやすい物になっているかが重要、という意味でしょうか。

 

 

 

 

 

 

そういう意味では日本ではまだまだバリアフリーをやっただけにとどまっている場所や物が多いように感じます。

 

 

このバリアフリーという概念が出来たのは1976年に国連障がい者生活環境専門家会議において、「バリアフリーデザイン」という報告書が作成されこれがバリアフリーが広く世に知れ渡るきっかけになったと言われています。

 

このバリアフリーデザインという報告書の中で、単にバリアフリーと言っても物理的障壁と社会的障壁の二つがあると分類しています。

物理的障壁をなくすバリアフリーとしては今では様々なところで目にすることができます。

 

 

たとえば、車いす利用者向けに作られたノンステップバス。階段に併設されたスロープ、階段昇降機、スペースの広いトイレなどです。スーパー等では車いす利用者用駐車スペースもあります。

 

また視覚障がい者向けでは点字ブロック、音が鳴る信号機、コントラストが強い公共表示等。障がい者だけではありません。幼いお子さんを持つ保護者の為にベビーチェアやベビーベッド、授乳室等、これもバリアフリーに該当します。

 

このように日本でも随分と物質的なバリアフリー化は進んでいると思います。

 

 

他にも言語のバリアフリーという物もあります。日本は観光立国を目指しています。その為訪日外国人の為の利便性、満足度を向上させる為に交通機関の掲示板を多数の言語で表示したり、音声ガイダンスでも多言語化してきています。

 

同じような考え方にノーマライゼーションという考えがあります。これは1950年代に北欧から始まった社会理念の一つです。障がい者も健常者と同じように生活が出来るように支援をしなければならないという考え方です。また、そこから発展してそのような区別がそもそもなくなり、社会生活を共に行う事が正常な状態だし、本来望むべき姿であるという考え方としても使われるようになっています。

 

 

そもそも社会的弱者を保護する仕組みが福祉と呼ばれますが、歴史的に障がい者施策は施設建設から始まる事が多く、その施設に入所する人にとって、本人たちが望む状態や環境が整えられず、尊厳が保たれない状態になる事が往々にして起こりました。

日本でもハンセン病患者の方々が福祉を名目に隔離をされ、障がい者の意思が尊重される事はありませんでした。このような現状に対して「障がい者を排除するのではなく、障害を持っていても健常者と同じく当たり前に生活できる社会こそが通常の社会である」という考え方を実際に実現する取り組みがノーマライゼーションと呼ばれるようになりました。

 

 

このノーマライゼーションという概念はデンマークのニルス・エリク・バンク=ミケルセンという方により初めて提唱され、後にスウェーデンのベングト・ニリエさんにより世界中に広く知れ渡る事になりました。

 

 

このノーマライゼーションに関する最も進んだ法的な整備としてはアメリカのADA法(障がいを持つアメリカ人法)です。なお、アメリカでは人種間の権利、黒人と白人は対等の権利を有するという場面でも使われています。ADA法は明確に差別を禁止しています。

 

 

このように様々な国や地域で徐々に整備が進んでいますが、一方で本来保護が必要な障がい者の生活保障は実現をしておらず、健常者や地域社会とのトラブルも少なからず発生をしています。単に法整備をするだけではなく、実を伴った取り組みが必要になっています。

 

 

私たちが車いすファクトリーで販売している車いすは高齢者や障がい者の方の生活が少しでも快適に、便利になればとの思いで販売させていただいております。私たちも単に車いすを販売するだけはなく、地域社会が高齢者や障がい者の方にとって、もっと快適に、もっと過ごしやすい状態になるように考え、出来る事から始めたいと考えています。