車いすの歴史については非常に興味深い。かなり昔から今の車いすの考え方に近い形の物が開発されていたようだ。
紀元前6世紀~5世紀ごろには家具付きの車輪という記述が残されていて、考え方が車いすにちかいという。
どこで発生したのかについては、はっきりとした文献はないようだが、古くは中国の英雄、諸葛亮孔明が用いていたと言われている。
諸葛良孔明が三国志演義の中で車いすに乗っている絵が描かれている。
三国志演義は明の時代の記述である為、その頃には既に車いすという概念が出来ていた事がわかる。
介助用車いすを肖像画に見る事が出来る。スペインの王、フェリペ2世の肖像画がそれだ。
その絵には現在の介助用車いすを思わせるデザインの車いすが描かれており、ひじ掛けや足置きも描かれている。
かなり精巧に出来ていたと思われる。この絵が描かれたのは1595年頃とされている。日本では戦国末期の頃だろう。
そこから約50年後には世界初の自走式車いすが登場している。
ステファン・ファフラという人物が発明した。彼自身も障がい者だったようだ。
当時の自走式車いすは今のように後輪を手で操作するタイプではなく、前輪をギヤ駆動のクランクで回して動かす仕掛けだったらしい。
この車いすは単に障害者だけではなく、一般の人も利用したと記述されている。
当時は車いすは障がい者の方が乗る乗り物という考えがなかったようだ。
商業的に車いすが生産され始めたのは、18世紀のヨーロッパからだ。
日本では土車という障がい者が乗る車いすの原型のような物が存在した。
使用する人は車輪のついた板の上に座り、あぐらをかいて、棒などで動かしたようだ。
また時にはこの車に縄を付けて介助する方が動かした。
この車を使って寺院の巡礼や長期旅行をする人もいたという。その模様が描かれた浮世絵が残されている。
また、大正時代にはイギリスやアメリカから輸入された記述が残っている。
今の車いすと同じような物は1920年国内で製造されている。
当時は廻転自転車という名称だったようだ。しかし記述は残っているが誰がいつ製造したかの詳細な情報は残っていない。
誰が製造したのか確認できるもので一番古い物は北島藤次郎作の物だと言われている。
当時は籐で作られていたようだ。主には戦傷者や病院の入院患者が利用したらしい。
第二次世界大戦後は多くの負傷者が出たが、戦後間もない時期で物資が極端に不足していた事からなかなか障がい者にはいきわたらなかったという。
1964年の東京パラリンピックにおいて優秀な欧米製の車いすを目の当たりにして、日本でもそれに追いつけ追い越せで飛躍的に性能が向上した。
1990年代には日本でもバリアフリー化が進み、車いすで移動しやすい施設が増える事となる。
2021年東京で再びパラリンピックが開催されようとしている。当時とは比べようもない程、日本の車いすの性能は飛躍している。
どれだけの金メダルを手にする事だろうか。非常に楽しみだ。
またこの性能を目の当たりにして他国でも技術の進化が進めば、車いすがもっと便利な乗り物になるだろう。
車いすは障がい者のみならず高齢者でも利用されている。
どれでも同じというわけではない。
せっかく乗るのだからデザインにこだわりたい人もいれば、出来るだけ安くと考える人もいる。車いすとは最早ファッションのように、なくてはならない物になってきている。
その為に、今よりももっと多くのバリエーションが必要だろうと思う。
服には時として、素材の価値以上の価格で販売されている物もある。ハイブランド品がそうだろう。
グッチやエルメス等のカバンでもそうだ。革製品以上の価値で販売されている。
車いすにもいずれハイブラン品が出たら良いな思う。ファッションに見合う車いすはニーズが多いだろう。
車いすファクトリーではまだまだ取り扱い点数が少ないが、将来的には掲載アイテム数を
増やしていきたい。より多くの趣味趣向に沿った車いすをお客様にお届けする事が車いすファクトリーの使命だ。
トヨタ自動車が富士の麓にウーブン・シティという都市を作った事は有名な話だ。
人とモノがインターネットで繋がる都市。未来志向の都市だ。
障がい者や高齢者にとっても便利な街が造られればと期待をしている。
近い将来車いすにもAIは実装され、車いすそのものが電子決済機能があるようになれば、駅のホームで切符をかったり、ICカードを読み込ませて改札を通過する必要がなくなるのではないか。
あるいは買い物も、買い物カゴに必要な物を入れた状態で店の外に出ても車いすに備えられた決済機能が自動でお金を支払ってくれれば車いす生活もとても便利になるだろうと思う。
トヨタ自動車には是非そのような観点からもこのウーブンシティで実験を行って欲しいと思う。
この数年でまた、これまで以上に大きく世界は変わる事だろう。
車いすも変わっていかなければ、世の変化に対応出来ていない不便な道具になってしまうと危惧している。
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